松吉夫婦は何も願わず、ただただ感謝するばかりであった、そして毎日神棚に寝そべっている貧乏神は居心地が悪い。なぜなら貧乏神というのは、人々を貧乏にして泣き事、恨み声を聞くのを是とする存在だからだ。
松吉夫婦を貧乏にしている元凶(?)の貧乏神に、感謝の言葉を捧げる日々。貧乏神は自分の存在を悩むようになり始めた。
自分は何も良いことをしていないのに感謝される。神様なんて名前がついているのが、おかしい位だ。自分は一体何んなのだろうと悩むのであった。
貧乏神の、「貧乏」をとれば神である。貧乏という現象の奥にも神はいる。その神を引き出したのは松吉夫婦の感謝である、「ありがたい」という思いから来る感謝である。感謝は貧乏神の本当の姿を引き出すのであった。