損するという認識すら、愚者は持ち得ないのです。才気と口を以って「貝」(つまり財産)を得ようとする行為が、損なのです。逆に言えば、才気と口(口舌の意味、実行が伴わない口先といっても良いかもしれない)で、財が成せるという考え方が、損のはしまるなのです。
では一方得とは何でしょうか?これも字を分解して考えてみましょう、扁は「彳」、行人扁です。つまり行動する行う、という意味です。つくりの「得」は、「日」と「一寸」にさらに分解できます、「日」に「一寸」。「日のちょっと」と読めます。或いは「ちょっとの日」つまり「少しの時間」という意味です。少しの時間でも、行ずるもの、行ずること」。
これが、得に通ずることなのです。何か大それた行為ではなく、ちょっとした、スキ間時間の行為が、得に通ずるのです。